入院3日目
赤ちゃんを連れて、授乳室からお部屋に戻る時、点滴を吊り下げたお腹の大きい女の子が廊下をゆっくり歩いていました。
この子とは、1時間前にも廊下ですれ違ったので「陣痛が強くなるように、歩いて促してるんだ!」と気付きました。
女の子が「いつ産まれたんですか?」と聞いてきました。
「3日目前です。」
「出産は、長いですよね?大変ですよね?」の不安そうな問いに対し
「ん〜〜。終わっちゃえば、あっという間ですよ。短いですよ。
痛みに弱い私でもなんとかなったので大丈夫です!なんとかなります!!」と言いました。
内心は、苦しかった陣痛の事実を話すべきなのか、出産は大変じゃないと嘘をいうべきなのか迷いましたが、口から出たのは 出産は軽いという嘘でした。
軽い陣痛を感じ始め、大きなお腹の女の子に、さらなる恐怖を与えるのはあまりに無情だと私は判断しました。
「元気がでました!!ありがとうございます!!!」と不安げな女の子の表情がみるみる明るくなっていきました。
女の子と別れたエレベーターの中で、
「これから何時間も苦しい陣痛と戦わなきゃいけない女の子に嘘をついてしまったことと、出産目前で、陣痛をがんばって乗り越えてほしい女の子への応援の気持ち」が複雑に重なり合い、私はポロポロ涙をこぼしていました。
なんの涙だったのか、自分でもわかりません。
数時間経ち、このブログを書いてる今でも 彼女に嘘をついて良かったのか悪かったのか、正解がわからないでいます。
みなさんは、どう思われますか?